技術概要
本技術は、円錐型アイリス構造を採用した革新的な把持装置であり、把持中心軸の周囲に配置された複数の可動部材が協調して動作することで、多様な形状の被把持物を安定して把持します。特に、先端把持部が基端部よりも被把持物に近い側に位置する構成により、対象物をより深く、かつ確実に包み込むように把持できる点が特徴です。これにより、従来のロボットハンドが苦手としていた不定形物や壊れやすい物品、あるいは複雑な形状の部品であっても、高い汎用性と信頼性をもって取り扱うことが可能となり、生産ラインや物流現場における自動化の適用範囲を大幅に拡大するポテンシャルを秘めています。
メカニズム
本把持装置20は、把持中心軸Oの周囲に配置された複数の可動部材21A〜21Fで構成されます。これらの可動部材は、それぞれの先端把持部21bを把持中心軸に向けて移動させることで、被把持物を把持します。この移動を可能にするため、可動部材の基端部21aは、把持中心軸の周囲で保持機構22, 23によって支持されます。特筆すべきは、少なくとも把持中心軸に近い領域において、先端把持部が基端部よりも把持中心軸の軸方向で被把持物に近い側に位置する構成です。この独自の配置により、対象物をより包み込むように捉え、高い安定性と把持力を実現しています。
権利範囲
AI評価コメント
本特許は、残存期間13.9年と長く、2040年までの長期的な事業展開が可能です。9項の請求項と代理人による適切な権利化は、権利範囲の広さと安定性を示します。審査官からの拒絶理由通知を克服し特許査定に至った経緯は、本技術の独自性と特許性が先行技術に対し明確に認められた証であり、極めて堅牢な権利基盤を有しているSランクの特許と言えます。
| 比較項目 | 従来技術 | 本技術 |
|---|---|---|
| 把持対象物の多様性 | 特定の形状・硬さに限定 | ◎(不定形・複雑形状・壊れやすい物に対応) |
| 把持の安定性 | 接触点が少なく滑りやすい | ◎(包み込む把持で高安定性) |
| 導入コスト・柔軟性 | 専用ハンド開発・交換頻度高 | ○(汎用性高く、交換・調整コスト削減) |
| ドローン等への適用性 | 重量・形状制約が大きい | ○(軽量・コンパクト化の可能性) |
本技術の導入により、多品種少量生産ラインにおけるロボットハンドの交換頻度や段取り時間を年間で平均20%削減できると試算されます。例えば、段取り作業にかかる人件費(作業員1人あたり年間500万円)と、ロボットハンドの交換・調整コスト(年間1,000万円)を合計した2,500万円に対し、削減率20%を適用すると、年間500万円の直接的なコスト削減が期待できます。さらに不良品の発生率を5%低減することで、年間1,500万円相当の廃棄ロス削減が見込まれ、合計で年間2,000万円以上の経済効果が期待されます。
審査タイムライン
横軸: 把持対象物の多様性
縦軸: 複雑形状への対応度