技術概要
本技術は、機能性を有するフラーレンナノシート、その製造方法、およびそれを用いた水晶振動子ガスセンサを提供します。フラーレンを主成分とし、窒素原子を含有する六角形板状構造の多孔質ナノシートであり、面心立方格子構造(fcc)と親水性を自然に有する点が特徴です。これにより、別途親水性処理を行うことなく、揮発性の酸性ガスに対して高い選択性を示すガスセンサを実現し、製造プロセスの簡略化と高性能化を両立できる画期的な技術です。
メカニズム
本技術のフラーレンナノシートは、フラーレン骨格に窒素原子が導入された多孔質な六角形板状構造を有します。この特殊な構造が、ガス分子との相互作用表面積を最大化し、かつ、窒素原子の電子的特性が特定の酸性ガス分子との選択的な吸着を促進します。また、本来親水性を持たないフラーレンに窒素を導入することで、表面が親水性を帯びるため、別途の化学処理なしに水系プロセスでの取り扱いが可能となり、製造プロセスが大幅に簡略化されます。このナノシートを水晶振動子上に固定することで、ガス吸着による質量変化を高い精度で電気信号として検出します。
権利範囲
AI評価コメント
本特許は、残存期間が14年と長く、長期的な事業計画を構築できる優良な権利です。18項にわたる充実した請求項数と、審査官による拒絶理由通知を乗り越えて登録された経緯から、その権利範囲は広範かつ強固であり、競合他社の追随を困難にする高い参入障壁を形成するでしょう。国立研究開発法人物質・材料研究機構による出願であることも、技術の信頼性と将来性を裏付けています。
| 比較項目 | 従来技術 | 本技術 |
|---|---|---|
| 酸性ガス選択性 | 従来の半導体式センサ:低選択性、誤検知多発 | ◎高選択性、誤検知大幅減 |
| 製造プロセス | 既存ナノ材料センサ:複雑な表面親水化処理が必要 | ◎親水性処理不要、工程簡略化 |
| 材料構造制御 | 一般的なナノ材料:構造制御が困難、品質にばらつき | ○六角形板状構造、多孔質で安定 |
| 感度・応答性 | 一部の電気化学式センサ:応答が遅い場合あり | ◎多孔質構造により高感度・高速応答 |
本技術導入により、フラーレンナノシート製造における親水性処理工程が不要となり、年間約500万円の薬品費と作業時間1000時間相当の人件費500万円(計1,000万円)の直接的コスト削減が見込まれます。また、高選択性ガスセンサによる誤検知削減効果として、従来のセンサが年間20回発生させていた誤検知による対応コスト(1回10万円)が年間2回に減少した場合、年間180万円の削減となり、合計で年間約1,180万円の経済効果が期待されます。
審査タイムライン
横軸: 製造プロセス効率性
縦軸: 酸性ガス選択的検知精度