パテントトロールとは?
特許訴訟リスクと対策・不実施主体(NPE)の手口
カウンター攻撃が効かない非対称性と、企業が取るべき防御戦略
パテントトロールとは
⚠️ 特許訴訟を専門とする「知財ヤクザ」
パテントトロール(Patent Troll)とは、保有する特許の権利を他社が侵害していないか調査し、侵害の可能性が見つかった場合にライセンス料の支払いや損害賠償を請求し、訴訟を起こす(またはその脅しをかける)ことを専門的に行う者や組織のことです。
📚 正式名称:NPE(不実施主体)/ PAE(特許主張主体)
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🔸 NPE(Non-Practicing Entity:不実施主体)
自らは製品の製造やサービスの提供を行わず、保有する特許権を行使して収益を得る組織。 -
🔸 PAE(Patent Assertion Entity:特許主張主体)
特許権の主張(訴訟や警告書の送付)を主たる事業とする組織。NPEとほぼ同義。
その活動内容は、自らは製品の製造やサービスの提供を行う事業はせず、高額の賠償金やライセンス料を得ることだけを目的に訴訟や脅しを仕掛けるため、北欧の民話に登場する醜悪な怪物に住む妖精である「トロール」の名前が使われています。
米国のことわざに「パテントトロールと呼ばれる者自身がパテントトロールと名乗ることはない」という言葉があるように、元々はソフトウェア会社などの事業会社が自社の事業と同様に用いられることが多かったようです。ただし、営利目的ではなく、訴訟に勝利して自社で製品化を行っていることや、ピーター・デトキン氏が目的としたためです。
なぜパテントトロールは「最強」なのか?
パテントトロールが強力なのは、「カウンター攻撃が効かない」という非対称性にあります。通常の企業間紛争とは異なり、一方的に攻撃できる構造になっています。
😭 一般企業:守るものがある
- ❌ 製品を販売している
- ❌ 特許侵害で訴えられると…
- ⚠️ 製品の販売差止リスクがある
- ⚠️ 顧客に迷惑がかかる
- ⚠️ 長期裁判は経営に悪影響
- 💸 結果:和解金を支払わざるを得ない
😈 トロール:失うものがない
- ✅ 製品を作っていない
- ✅ 特許侵害で訴え返されても…
- 😎 差し止めるべき製品がゼロ
- 😎 カウンター攻撃が完全に無効
- 😎 訴訟の専門家集団で経験豊富
- 💰 結果:一方的に攻撃し続けられる
⚔️ この非対称的な優位性こそが、パテントトロールを「最強」たらしめる構造的要因です。
パテントトロールは、自らは製品の製造やサービスの提供を行っていないため、他社の特許を侵害する心配が全くありません。気軽に権利行使を行えるわけです。パテントトロールの多くの要求に応じないのであれば訴訟になりますが、差止請求で自社の製品の販売が止められる可能性が考えられるなど不利益となるため、和解せざるを得ない状況に追い込まれます。また、長年訴訟経験を積んだパテントトロールに、特許侵害で勝利する事は容易ではありません。
パテントトロール対策:企業が取るべき防御策
パテントトロールのリスクは深刻ですが、適切な対策を講じることで被害を最小化できます。以下の防御策を実施しましょう。
🛡️ 対策1:無効審判の請求
トロールが保有する特許の無効性を主張し、特許庁に審判請求します。特許が無効と認められれば、トロールの権利行使は根拠を失います。過去の類似特許や公知技術を徹底調査し、無効理由を探しましょう。
🔍 対策2:事前のクリアランス調査(FTO調査)
製品開発前に侵害リスクを洗い出す「パテントクリアランス」を実施します。既存特許を調査し、抵触する可能性のある特許を発見した場合は、設計変更や回避策を講じます。最も効果的な予防策です。
📚 対策3:特許ポートフォリオの強化
自社特許を充実させ、相互牽制力(クロスライセンス交渉力)を高めます。トロールには効果が薄いものの、通常の企業間紛争では有効です。
💼 対策4:特許訴訟保険への加入
訴訟に備えて特許訴訟保険に加入し、訴訟コスト(弁護士費用、和解金等)をカバーします。中小企業にとっては経営リスクの軽減につながります。
👨💼 対策5:弁理士・弁護士との連携
警告書が届いた段階で、すぐに知財専門の弁理士・弁護士に相談しましょう。早期対応が和解金の減額や訴訟回避につながります。
よくある質問(FAQ)
❓ パテントトロールとは何ですか?
パテントトロール(Patent Troll)とは、保有する特許の権利を他社が侵害していないか調査し、侵害の可能性が見つかった場合にライセンス料の支払いや損害賠償を請求し、訴訟を起こす(またはその脅しをかける)ことを専門的に行う者や組織のことです。正式名称は「NPE(Non-Practicing Entity:不実施主体)」または「PAE(Patent Assertion Entity:特許主張主体)」と呼ばれます。
❓ NPE(不実施主体)とは何ですか?
NPE(Non-Practicing Entity:不実施主体)とは、自らは製品の製造やサービスの提供を行わず、保有する特許権を行使して高額なライセンス料や損害賠償を請求する組織です。製品を作っていないため、相手企業からカウンター攻撃(特許侵害の反撃)を受けるリスクがゼロという非対称的な優位性を持ちます。
❓ なぜパテントトロールは強いのですか?
パテントトロールが強い理由は、カウンター攻撃が効かない非対称性にあります。一般企業は製品を販売しているため、特許侵害で訴えられると差止リスクがあり和解せざるを得ません。一方、トロールは製品を作っていないため、侵害で訴え返されるリスクがゼロです。また、豊富な訴訟経験と専門弁護士を擁し、企業側は長期裁判を避けて和解金を支払う傾向があります。
❓ パテントトロール対策はどうすればよいですか?
主な対策は以下の通りです。①無効審判:トロールが保有する特許の無効性を主張し、特許庁に審判請求。②事前のクリアランス調査(FTO調査):製品開発前に侵害リスクを洗い出し、設計変更や回避策を実施。③特許ポートフォリオの強化:自社特許を充実させ、相互牽制力を高める。④保険加入:特許訴訟保険で訴訟コストをカバー。⑤専門家への相談:弁理士・弁護士と連携し、早期対応体制を構築。
🛡️ 最大の防御策:侵害予防調査(パテントクリアランス)
パテントトロールから身を守るには、事前のクリアランス調査(FTO調査)が最も効果的です。
製品開発前に侵害リスクを洗い出し、設計変更や回避策を講じることで、訴訟リスクを大幅に低減できます。