休眠特許とは
休眠特許(きゅうみんとっきょ)とは、公開、査定、登録されているが、ビジネス上使用されていない特許のこと。未使用特許とも呼ばれます。
国内の有効特許数、およそ135万件のうち、5割弱が休眠特許であるとされています。
休眠させる理由
休眠させる理由は多様で、商品化しにくい、利益を出しにくい、さらに優れたアイデアが存在する、法律などの規制がある、市場のニーズに合致しないなどがあげられます。
大手企業等では戦略上、他社に実施させないという意味で、休眠させているケースが約35万件もあるといわれています。
個人、ベンチャー企業、中小企業の休眠特許については、金銭面やノウハウなどに不安があり、リスクを背負えず休眠させているケースがみられます。
大手企業での休眠特許
大手企業では特許の件数が多ければ多いほど良いとされてきた事もあり、2011年の企業特許査定数は、パナソニック(6,881件)、トヨタ自動車(5,027件)、キヤノン(4,292件)、東芝(4,042件)、三菱電機(3,902件)、ソニー(3,463件)、リコー(3,413件)、富士通(3,010件)、本田技研工業(2,999件)、シャープ(2,848件)と多くの特許を取得しています。
海外企業では、サムスン電子(1,303件)、マイクロソフト(704件)などが頭角を現しています。
特許1件あたりの維持費は平均すると、毎年2万円前後となります。
数万件の特許を保有する大手企業では年間数億円の維持費が特許のために支払われることとなります。特許料は“年金”と呼ばれ、必要な特許の取捨選択が必要となっています。ただし、思いもよらないところで利用できたり、クロスライセンスとして活用できたりと、捨てる選択には難しい判断と責任が必要となります。
個人、ベンチャー、中小企業での休眠特許
大手企業ではある程度の規模の売り上げを見込めないと製品化や、事業化をしないことが多いですが、個人、ベンチャー企業、中小企業では身軽さを生かして小さな規模や狭い分野でうまく事業化できる可能性があります。
多くの休眠特許の中から使えそうな特許を探し出し、権利を所持する企業と実施契約し、実用化に成功したケースがいくつかあります。
しかし、探し出す手段は特許流通フェア、商談会、新聞、専門誌などと効率が悪いと言わざるを得ず、これまでの成功例は、まさにダイヤの原石を掘り当てたようなものです。
休眠特許の情報開示をして、スムーズな取引ができるように環境整備する事は知財立国をめざす日本にとって不可欠なものと言えます。ちなみに、特許保有者が積極的に開示している特許は開放特許と呼ばれています。
アベノミクスでの休眠特許
2013年、アベノミクスの政策として、総額20兆円にのぼる緊急経済対策の司令塔にあたる日本経済再生本部が新設されました。
その一端で、企業に眠る高度な技術である休眠特許の掘り起しは、国際競争力強化に向けた日本復活の起爆剤として期待されています。
新たに設置される官民連携ファンドは政府が日本政策投資銀行におよそ1,000億円を拠出、メガバンクなどにも協力を呼びかけ、新会社の設立や新事業の設立に力を貸してくれるようです。
特許を取得するための費用
特許を取得するためには、研究開発費、弁理士への相談料、特許出願費用など、色々と費用がかかります。
研究開発では、試作品の作成、サービス・生産方法についての概要計画の立案、特許の有用性と実現可能性を検討します。研究開発費は、開発者の人件費、試作の原材料費、委託研究費などが含まれます。
弁理士への相談料は、他に同様の特許が存在しないかを確認する特許調査、特許申請書類・図面の作成、インターネットによるオンライン出願などの費用で、およそ30〜60万円くらいが相場となっています。発明の難易度、請求項の数によって、弁理士への相談料は変わってきます。
日本弁理士会では、1回30分までの弁理士の無料相談を受け付けています。弁理士の指名はできませんが、相談したい分野は指定できます。上手に活用しましょう。『無料特許相談(日本弁理士会)』
日本国内の特許出願費用について、特許願を提出した段階で出願費用:14,000円、査定して貰うための出願審査請求:118,000円 +(請求項の数× 4,000円)が必要となります。
さらに、書面(紙)での提出の場合、電子化手数料:1,200円+ 書面のページ数 × 700円という手数料も請求されます。意見書や手続補正書でも請求されるので、「また払わないといけないのか…」みたいな感じになります。昔のOCRを使っていた頃ならまだしも、今のスキャン技術ならタダみたいなものなのに。ですので、特許出願はオンラインでの出願をお勧めします。
特許を維持するための費用
このように費用と時間をかけ特許を取得し独占的に発明を実施できる状態になっても、登録されたものが必ず利用されているとは限りません。
上手に利用しなければライセンス収入も得られず、以下の特許料が年間で発生してしまいます。
1 〜 3年目で年間特許料:2,100円 +(請求項の数× 200円)
4 〜 6年目で年間特許料:6,400円 +(請求項の数× 500円)
7 〜 9年目で年間特許料:19,300円 +(請求項の数× 1,500円)
10〜25年目で年間特許料:55,400円 +(請求項の数× 4,300円)
※昭和63年1月1日以降の出願、平成16年4月1日以降に審査請求をした場合の特許料(2019年1月現在)
改正された為、平成16年4月1日以降に審査請求した特許はずいぶん安くなりました。
特許電子図書館(IPDL)サービス終了について
平成27年3月20日、特許電子図書館(IPDL)のサービスが終了しました。
平成27年3月23日(月)9時から、新たな特許情報提供サービスとして、「特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)」が運用開始しました。
<特許情報プラットフォームの紹介ページ>